コミュニケーション戦略スキル (ハーバード・ビジネス・レビュー・ブックス)
より
「現場で働く社員に大規模な改革を説明するのに、最も効果的な方法は、直接口頭で伝えることである。
放送やビデオ、社内報、大がかりな会議などに頼るのは、やめたほうがいい。
■ ビデオ(メッセージ動画)
ビデオは社員のためのメディアとして急成長した。
しかし、社員のほうは実はビデオなどもう見たくない。
ビデオには効果はない。
■ ライブ中継
経営幹部は、以下のような台本には載っていない質問を浴びせられる。
1. ばかばかしいほど具体的な(現場レベルの)質問
2. 善人ぶった質問
3. 痛烈な批判
■ 社内報
信じがたいほど巧みな筆致で、綿密に練り上げられ、妥協の産物とでもいうべき記事ができあがる。
ビデオが有益になるケース
・フェデラル・エクスプレスは、取扱注意の必要な荷物の包装・出荷方法を、ビデオを使って社員に教えている。
・アメリカ郵政公社は、料金改定時の料金計算方法を窓口係に説明する目的でビデオを制作した。
・ユニオン・カーバイドの社員は、インドのボパールで悲惨な化学物質の漏出事故が発生したとき、悲劇がいかに発生したのか、会社はそれにどう対処したのかを知りたがった。同社の広報部はそれまで年間4本のビデオを作成していたが、その数を45本に増やした。
■ 会議
多くの人が参加できる会議を開けば、直接的なコミュニケーションをはかれると考えられているが、その考えは間違っている。
題一線監督者の85%は会議を避けて、直接のコミュニケーションをはかるようにしている。
なぜなら現場の社員を集めて会議を開いたところで、不満をぶちまけるだけの場となることを知っているからである。
一人ひとりの労働者は筋がとおっていて、しかも協力的なことは監督者も知っているが、集団となると考え方は一変してしまう。
最も効果的なコミュニケーションは、形式ばらないやり方で、面と向かって、一対一で行われるものだ。